有機農法、特別栽培、自然農法は似ているけど実は全く違う
- 2014/10/11
- 農業
有機農法、特別栽培、自然農法は似ているけど実は全く違う
通販などでお米や野菜を見ていると有機農法、特別栽培、自然農法といった表現を見たことはありませんか。
なんかパッと見すごく体にいいような印象がありますよね。しかし、これらは似て非なるもの。ちゃんと違いを理解しておかないと実は思っているものと全然違っていたということにもなりかねません。
そういう私もあまり違いがわかっていなくて、とりあえず「こだわってそう」「どれも大体同じでしょう」という印象だけで選んだこともあります。
しかし、こういうものこそちゃんと選ばないといけないと思いちゃんと調べて纏めてみましたのでさっそく紹介していきたいと思います。
有機農法
有機農法とは化学的に合成された肥料及び農薬を避けることを基本として、種まきまたは植付け前2年以上、堆肥等による土づくりを行ったほ場において生産された農産物と定義されました。つまりは種まきの2年前から無農薬、無化学肥料にこだわった農法ということになります。
この基準はJAS法にて定められていて、有機農産物をはじめ、有機○○、オーガニック○○といった表示をするためには農林水産省の登録を受けた第三者機関の検査に合格する必要があります。そのため、有機JASマークがついていると一定の品質を保障されることになります。
しかし、ホームページなどの表記にこのJAS法は適用されないため、実際には認証を受けずにこの表記をしていることもあるようです(虚偽で無い限り違法ではありません)。このような実態は検査自体に費用がかかり、ホームページへの表記など効果が限定的であるため、普及していないとも言えます。面積比だとJAS認定を受けているのは全体0.2%とのことで世界的に見ても低水準らしいです。
特別栽培
特別栽培とは、簡単に言えば農産物の生産過程で農薬の使用回数や化学肥料の窒素成分量を従来の5割以上削減して生産した農法のことです。この農法で作られた農産物を特別栽培農産物といいます。特別栽培と表記するには農林水産省がちゃんとガイドラインとして定めています。しかし、基準を満たしても特別栽培だと消費者にはわかりにくいため、消費者にわかりやすいように減農薬・減化学肥料と記載していることもあるようです。
有機農法と非常によく似ていますが、有機農法は種まき前2年以上及び栽培期間が対象になるのに対し、特別栽培は栽培期間中だけしか対象になりません。また、有機農法の無農薬、無化学肥料に対して、特別栽培は減農薬・減化学肥料にとどまっています。
減農薬、減化学肥料は消費者に対して売りにできるにもかかわらず、特別栽培では消費者にとってなじみがないことから都道府県等自治体やJAは特別栽培と同等かそれ以上の基準のものを設けて、地域活性化の一環としてブランド農産品として売り出すことが一般的になってきました。京のブランド産品などが有名ではないでしょうか。
自然農法・自然栽培
自然農法・自然栽培は自然のまま、人の力を加えずにというコンセプトです。
具体的には耕さない、除草しない、肥料を与えない、農薬を使用しないなどが特徴です。JAS法などの法律で定義があるわけではなく、上記にあげた特徴も人によって最低限耕したり、除草したりするなど様々な手法が取られています。
農作物の品質のための農法というよりは思想というか、消費者の信条など影響する農法かと思います。
まとめるとこんな感じ
有機農法 | 特別栽培 | 自然栽培 | |
---|---|---|---|
農薬 | ◎未使用 | ○減農薬 | ◎未使用 |
化学肥料 | ◎未使用 | ○減化学肥料 | ◎未使用 |
対象期間 | ◎栽培期間+2年 | ○栽培期間中 | なし |
定義 | ◎あり | ◎あり | △曖昧 |
認定機関 | ◎農林水産省 | ◎農林水産省 | △なし |
味 | 規格外 | 規格外 | 規格外 |
安心・安全 | ◎ | ○ | ◎ |
信条 | なし | なし | あり |
総合 | ◎ | ○ | △ |
選ぶなら有機農法、特別栽培の順かと思います。但し、価格も有機農法は高くなるため実際にはそれらとのバランスだと思います。なお、味はこの定義上は規格外です。農作物の味の基準としては、お米については食味検査、その他野菜などはJAや民間などが独自で基準を設けて運用しています。それらの違いは次回にします。